大腸内視鏡検査
大腸内視鏡検査
大腸カメラは太さ11-13mm程度の細長く軟らかい内視鏡です。見た目としては、胃カメラよりもやや太くて長い形です。
肛門から盲腸まで(内視鏡が約70~80cm入ります)の大腸内を挿入・観察するために太さや硬さや形状などが最適化されています。
検査前に便を完全に排出させるために下剤(腸管洗浄液)を2リットル近くのみます。
大腸は非常に長く(伸ばすと150cmぐらい)曲がりくねっているため、内視鏡が奥に進んで行く際に一時的に腸が押されて伸ばされることがあり、その時に腹が張ったり痛くなったりすることがあります。その苦痛を軽減するために「腸に負担の少ない内視鏡機器と挿入法」「腸が伸びないようにおなかを押さえる介助法」「鎮痛剤・鎮静剤の使用によりリラックスし苦痛を感じにくくする」などの工夫がなされ、以前よりも苦痛の少ない検査が可能となっています。盲腸まで内視鏡が挿入された後に、内視鏡を抜きながら再び肛門まで戻ってきながら大腸を詳細に観察します。ポリープなどの病変を発見した時は、必要に応じて特殊光観察・色素散布・生検組織採取・切除術などを行います。
大腸がんは、がんの部位別死亡率において男性では「第3位」、女性では「第1位」です。
大腸がんは食生活の変化などにより現在も増加中であり、がんの前段階となり得る大腸ポリープまで含めると、さらに多くの無症状で大腸がん・ポリープを抱えている方がいると思われます。
肛門に近い直腸やS状結腸に比較的好発するため血便を認めることもありますが、痔の出血と思い込んでしまったり、検査への抵抗感もあって受診されずに時が過ぎてしまうケースもあります。
また、せっかく検診を受けた方の中でも、便潜血検査で陽性になっても、大腸内視鏡検査を受けない方が多いことが大腸がん死亡率の上昇にも影響しているようです。大腸がんは自覚症状が出たときはかなり進行している場合が多く、早期発見が最も重要なポイントになります。そのためには定期的な検査が必要です。大腸がんを早期発見するには、大腸内視鏡検査が有用な検査方法です。
40歳以上の方で、これまで大腸内視鏡検査受けたことのない方は、ぜひ、一度検査を受けてください。また、若い方々には潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患(IBD)が増えています。これらの疾患を診断するためには大腸内視鏡検査が不可欠です。
大腸がんの多くはポリープ(腺腫という良性腫瘍)が進行し悪性化・がん化したものです。つまり、ポリープは「前がん病変」(将来がんになりうる状態)と考えられています。
実際にポリープのうちに切除(ポリぺクトミー・EMR)することで、大腸がんの発生率が著明に減少したというデータもあります。ポリープの段階で発見・切除することは大腸がんの可能性を下げる効果があるのです。ただし、ポリープの段階ではほとんど症状はなく、便潜血検査でも100%見つけることは出来ません。そのため40歳以上の方には、定期的に大腸内視鏡検査をお受けになることをおすすめしています。
検査 | 内容 | 費用 |
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大腸内視鏡 (大腸カメラ)検査 |
付随する診察料・血液検査費用・使用薬剤費用などと合わせて | (3割負担の場合) 8,000円程度 |
大腸カメラ+生検組織検査 | 粘膜を一部つまんで採取し、悪性細胞の有無等を顕微鏡で確認する精密検査を行った場合 | (3割負担の場合) 15,000~20,000円程度 |
大腸カメラ+ 大腸ポリープ切除 |
内視鏡の先端から専用の器具を出してポリープを切除する日帰り手術 | (3割負担の場合) 22,000~33,000円程度 |
※保険診療で検査にかかる金額が決められているため、どこの医療機関で検査を受けても費用には大きな違いはありません。